音楽家の手の「神経障害」の中で、問題になっているのがフォーカル・ジストニア(局所性ジストニア)です。これは「痛みもなく次第に指のコントロールが失われ、ついには指が言うことを聞かなくなって、勝手に曲がったり伸びたりしてしまう」症状で、例えばピアノを弾いている最中に下の図のように指が奇妙な動きをして演奏できない、という状態に陥ります。病院にかかって精密検査を受けても「異常なし」と言われることが多く、本人は精神的なものなのかなどと思い悩んでしまいます。
フォーカル・ジストニアはまだ原因がわかっていません。特に音楽家のフォーカル・ジストニアは他の職種に比べ症状が特殊で、様々な治療が試みられています。
ほとんどの例で「演奏時にのみ発症する」「演奏の中でも特定のテクニックで症状が悪くなる」現象が見られますので、演奏動作によるリハビリテーションが有効なことが多く、ここでも理学療法士が重要な役割を担います。